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[Music Essay:音楽話] ミュージシャンのリスキリング

ギタリストにとって、リスキリングとはなんだろう

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リスキリング(reskilling)というキーワードを最近聞くことが多くなった。政府による労働市場活性化のための施策の中で使われ、ニュースなどでもよく耳にするようになった。

経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」では、下記の通り定義されている。>>> リンクはこちら

『新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること』
『近年では、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えている』(資料:リクルートワークス研究所)

デジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞くにつけ、アメリカと比較して、日本は遅れているなという思いだ。音楽業界のデジタル化は、事務系のビジネス分野より、かなり先を行っている。40年以上前に革新的な技術として登場したMIDI(Musical Instrument Digital Interface)やその後のMacintoshによるオーディオ編集といった音楽に関するテクノロジーは音楽制作能力を飛躍的に向上させた。

高額な機材が用意されたスタジオから自宅スタジオにワークスペースが移り変わるという現象は、DTM(Desk Top Music)という言葉に表れている。DTMという制作スタイルは今や音楽制作に欠かせないものだ。1980年代にマルチトラックレコーダーで録音したサウンドはデジタルサウンドが主流の現在でも魅力的だが、録音作業、編集作業についてはデジタル処理と比較して時間がかかるため、スタジオ使用とエンジニアリングにかかるコストは制作費用の中でかなりの大部分を占めていたことだろう。

と、そこまではテクノロジーと音楽制作の親和性の高さということになるが、一方でアナログな楽器を演奏するスキルはどうだろう。いわゆる打ち込みやサンプリングではなく、リアルな楽器を弾く技術だ。レベルについてはかなり個人差がある。

例えば、ギタリストにとってリスキリングとはなんだろう。そこで筆者自身の「ギターに関するスキル」の棚卸しを行い、自己採点を厳しめにしてみた。スケールの知識と実用度はまあまあ(ペンタトニック、ブルーノート、モード他)、オルタネイトピッキングまあまあ、スイープピッキング(スピードピッキング)はもっと練習が必要、レガート奏法まだまだ道のりは遠い、チョーキング、アルペジオ、コードワーク、コードカッティング、これらはまあまあ、ギターサウンドを彩るイフェクトな使い方としてピッキングハーモニクス、アーミングも並みか。

ギターテクニックに関するワードで、モダン・テクニカル・ギタリストには必須と言われている「スキッピング」、「ハイブリッド・ピッキング」があるが、筆者にとっては馴染みのない奏法だ。後者は「ハイブリッド・ピッキング」とあらためてネーミングされたものだろうか。これはジェフ・ベック、エリック・ジョンソンでよく耳にするフレーズという認識があるが、奏法としてそれ以上に難易度の高い発展形もあるのだろうか。これまで自分が意識してこなかった奏法に注目したいし、練習もしたい。

ギター経験が長いといわゆる「手癖」によるフレーズがアドリブで頻出する傾向があると思う。著名な演奏家の言葉で、「練習はあまりしない」というポリシーを聞いたことがあるが、クラシックと異なり、アドリブを入れる楽曲の場合、練習しなくても良いレベルに達するのはなかなか難しい。

当たり前の話だが、アドリブのバリエーションを増やすことで楽曲に対するアプローチも幅広くなる。また、新たなコード、コード進行に挑戦することでバリエーションが増える。まだまだ、やることは尽きない。

筆者にとってリスキリングはタスクだ。

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